アニマルパスウェイ(エコブリッジ):Animal Pathway
アニマルパスウェイは、主に道路などによって分断された森林間に作られた人工建築物(橋)のことで、エコブリッジとも呼ばれています。個人的には、「天空の獣道」としたいところです。
アニマルパスウェイが作られた理由
なぜ、作られたか?
最大の理由は、人工建造物による断片化による影響がヒドイからです。
道路で考えてみましょう。
たった10m程度の幅であっても、次に書くように動物への影響は大きいのです。
1.道路死(ロードキル;車に轢かれる)
2.捕食される機会の上昇(見えやすく、隠れる場所がないため、道路横断中に捕食される)
3.移動不可能(特に樹上で生活する動物で地面に降りない動物では道路があるだけで、たった10m先の森への移動が不可能になります)
4.エッジ効果による森林微気候の変化(日光や風などによる影響が林内とは異なり、生息環境の質が劣化する場合があります)
5.エッジ効果による捕食動物の森林内への侵食(森林内に生息しない捕食動物;例えばネコが入りやすくなる)
以上のように、さまざまな影響が発生するのです。
それを軽減するために考えられたのが冒頭のアニマルパスウェイです。
国内外の事例と類似の構造物
日本では樹上性小型哺乳類のための通り道を示す言葉として用いられていて、北杜市のヤマネブリッジが有名です。
アニマルパスウェイ研究会が中心ですね。
ちなみに、日本だけで実施されているわけではありません。イギリスやオーストラリア、東南アジアでも類似のエコブリッジが建設されています。
特に、樹上性哺乳類(有袋類)や希少生物が多数生息するオーストラリアでは、道路死問題が凄まじいため、世界遺産に登録された北部熱帯雨林地域では、エコブリッジが一部で普及しています。また、希少生物の生息域の道路では、Bump(道路に凸凹をつけて速度制限をかける)なども作られています。これも環境保全技術の一例といえるでしょう。
アニマルパスウェイと似たような人工建築物に、道路の下を通す獣道(animal tunnel)もあります。たぶん、一番普及しているのはコレでしょうね。獣道(Animal tunnel)は、道路の下に動物移動用のトンネルを作って道路死を防ごうという目的で作られています。ただし、捕食動物も移動できるため、トンネル内には小型哺乳類用の避難場所なども盛り込んだ複雑な環境を創出することが重視されています。